技術書典6にサークル参加しました。 サークルは「このすみ堂」で、場所は「こ04」です。 熱の冷めないうちに振り返り記事を書きたかったので、さっそく書いてみました。
当日に頒布した本
本は3冊を頒布しましたが、技術書典6のメインは「Kuinプログラミング入門」です。 「エンジニアアンチパターン」は既刊で、レベルアップPHPは商業誌の新作でした。
- (新刊) Kuinプログラミング入門 くいなちゃんとはじめるゲーム & 実用アプリ開発
- (商業) レベルアップPHP 言語を理解して中級者へ
- (既刊) エンジニアアンチパターン 〜失敗に学ぶエンジニアリング〜
当日の一番人気は「レベルアップPHP」です。 おそらくは、技術書典6にPHPの本が少なかったからだと推測しています。
レベルアップPHP ?言語を理解して中級者へ? (技術の泉シリーズ(NextPublishing))
- 作者: 佐々木勝広
- 出版社/メーカー: インプレスR&D
- 発売日: 2019/04/12
- メディア: Kindle版
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レベルアップPHPの執筆について
技術書典5で「PHP中級者を目指す」という同人誌を頒布したのですが、それの商業化が決定したのが昨年末のことです。 そのためまずは、「PHP中級者を目指す」を改題した「レベルアップPHP」を執筆する必要がありました。
技術書典シリーズ(現、技術の泉シリーズ)
「ひよこなもふもふちゃんと技術同人誌.fm」を聞いてもらえるとわかるのですが。 技術書典シリーズ(現、技術の泉シリーズ)は、同人誌版では〆切りの都合で書ききれなかった部分を、思い思いに加筆して商業出版しましょうというシリーズです。
技術書典シリーズを支える編集長の思い(1) | ひよこなもふもふちゃんと技術同人誌.fm
技術書典シリーズを支える編集長の思い(2) | ひよこなもふもふちゃんと技術同人誌.fm
どれだけ加筆するかは著者に委ねられている部分が多いのですが、いざ加筆をはじめてみたらとても大変でした。 なにせ加筆したいことがどんどん思い浮かぶのです。
ただ2月に入ったあたりで、危機感を感じてきました。このままでは「Kuin本」の執筆ができません。 「〆切りの都合で書ききれなかった部分を加筆して出版しましょう」がコンセプトのはずなのに、最終的に〆切りに追われることになるのです(苦笑)。
(レベルアップPHPのコミットグラフ)
Kuin本の執筆について
もともとKuinの本は、年末年始から執筆をがっつり開始しようと思ってました。この時点で、すでに当初の想定より1ヶ月遅れています。
通常であれば1冊の技術同人誌の執筆にかかる期間は、1〜2ヶ月の間くらいのサークルが多いと思うのですが。 私の場合、執筆の開始時点でKuinの知識が不足していたのです。
「Kuinの情報量が世の中に少ないので、自分で調査したりしながら最終的に同人誌にまとめてみよう!」がコンセプトだっただけに、下調べの期間が不足してしまうのは致命的です。 そこで方向性を変えて、素直な入門書として出し直すことにしました。
この時点で本のタイトルが、「プログラミング言語Kuin」から「Kuinプログラミング入門」に変わります。 網羅的なプログラミング言語の書籍から、Kuinの良質な公式サンプルをベースとした入門書への方針転換です。
これは正直なところ、悔いの残る決断です。期間のない中でも本を完成させるためにとった、苦肉の選択肢でした。
Kuin入門書としての執筆
執筆の期間が足りなかったので、以下の工夫を行ないました。
- Kuinの公式サンプルを活用することで、自作サンプルの製作期間を短縮する
- 技術書典に来るエンジニアにターゲットを絞り、プログラミング初心者ではなくエンジニア向けのKuin入門書とする
- 対話ベースの書籍に方針を変え、普段の会話のごとく自然に本文が執筆できる書籍にする
上記の工夫の甲斐がありまして、執筆はとても捗りました。 2月から本格的に執筆をはじめて、最終的な納品ではA5の192ページという薄くない同人誌になります(苦笑)。
(Kuinプログラミング入門のコミットグラフ)
A5の192ページで800円という価格設定
当日の頒布価格は、前日まで悩んだ結果800円にしました。 本来はA5で192ページなら、1500円が妥当だと思ってます。
では「なぜ800円なんですか?」という疑問が、自然と浮かんでくるかと思うのですが。 期間のない中で方針転換して執筆した技術同人誌だったので、あまり自信がなかったのです。
それとKuinはプログラミング言語としてマイナーな部類に入るため、値段を下げてでも多くの人に手にとってもらいたいと考えました。 ただページ数が増えすぎて印刷費が高かったため、500円にしてしまうと完全に赤字が想定されます。
そこで最終的に、800円という頒布価格に決定しました。
Re:VIEW Starterによるショートカット
Kuinプログラミング入門では、はじめて「Re:VIEW Starter」を採用しました。 これがまた便利でして、とても役に立ちました。
今回はA5の同人誌にしたため、どうしてもデフォルトがB5のRe:VIEWからはカスタマイズが必要でした。 でもカスタマイズをすべて省くことができたので、大変ありがたいです。
https://kauplan.org/reviewstarter/
メジャーでないプログラミング言語の広報
こればっかりは「くいなちゃんに助けられた」としか言いようがありません。 「Kuinプログラミング入門」の頒布数は最終的に80冊程度なのですが、 技術書典5の「PHP中級者を目指す」の頒布数が150冊だったので、PHPの半分くらいは頒布できていることになります。
PHPの半分と考えてみると、我ながら凄い数値に思えてきます。
Kuinとくいなちゃんについて発信する
同人誌の宣伝も兼ねて実践したことは、主にブログとツイートです。 とくにブログを書くのは楽しくて「くいなちゃん & Kuinの歴史探訪」は、寝る間を惜しんで書きました。
本の宣伝というよりは、まずは「くいなちゃん & Kuin」を認知してもらうことが必要です。 今まではReact.jsやPHPなどメジャーな技術の同人誌を書いてきたので、これは今までにない取り組みでした。
でも途中から書いてて純粋に楽しくなってきたので、半分は自分のために書いたようなものだと思ってます(苦笑)。
当日について
技術書典6の当日は、売り子に高校の同級生を誘って参加しました。 本が3冊あったこともあり、サークル設営は意外と大変です。
あれやこれやと準備をしていたら、すぐに11時の開場を迎えます。
お隣のサークル「こ05」のてきめんさんもKuin!
事前のサークルチェックで、隣のサークルさんもKuinらしいとは知っていたのですが。 まさか本当にKuinで被るとは思ってなかったので、衝撃でした。
技術書典の設置が完了しました。「こ05」です!
— てきめん@技術書典こ05 (@youkidearitai) April 14, 2019
ギリギリセーフ(๑´•.̫ • `๑) pic.twitter.com/nWS2QJU3aR
てきめんさんとは色々お話させていただのですが、実際に制作されたKuinのシューティングゲームとその知見を共有するPDFを頒布されていたので、購入させていただきました。
読ませていただいたところ、ご多忙らしくページ数こそ少ないものの、内容は知見にあふれています。そして内容が熱くておもしろいです。 技術書典6のサークル半自動配置は、よく機能してます。
当日お越しいただいた皆様への感謝を込めて
たくさんの方に足を運んでいただきまして、感謝の気持ちでいっぱいです。
VSCodeのKuin言語拡張にプルリクを送っていただいたKayrlas( @eagleutkk )さんには、ほぼ開場と同時に挨拶に来てくださいました。
また睡工房のさとちー( @satonayu )さんには、なんと遠路はるばる来ていただけました。Kuin界隈は、優しい方が多いです。
このすみさん( @konosumi )のkuin本無事ゲットです(*⁰▿⁰*)ノ pic.twitter.com/sMGktlGBB1
— ちっちゃなさとちーᓚᘏᗢ (@satonayu) April 14, 2019
他にも「Write Blog Every Week」からライナス( @Linus_MK )さん、「酒がないとプログラム書けない!」からわた( @hishiwata7 )さん、#rehashfmのスマイル( @smile_0yen )さん、YYPHPの皆様などにも来ていただけました。ありがとうございます。
慌ただしすぎて記憶があやふやですが、 確か #yyphp からは@y_likegame さん、@nouphet さん、 @ttabtt3 さん、 @hamaco さんが技術書典6のレベルアップPHPに来ていただけたはず。
— このすみ (@konosumi) 2019年4月14日
記憶違いでしたらすみません。他の皆さまも含め、深く感謝申し上げます!
kuin 本が売ってたからとっさに買ってしまった #技術書典6 pic.twitter.com/nYNdPUrRkI
— リゼ (@archeleeds) April 14, 2019
懲りずに入場が遅くなってしまったけど .@konosumi さんの Kuin 本買えた!ボリュームたっぷりで凄い! #技術書展6 #技術書展6 pic.twitter.com/AoWEyLWoBz
— スマイル (@smile_0yen) 2019年4月14日
技術書典6 に行ってきた。
— 127.0.0.1 (Godot) (@7F000001) April 14, 2019
Kuinプログラミング入門
プログラム言語神経衰弱
〃 拡張セット1
〃 拡張セット2 pic.twitter.com/GXVjv28o4v
技術書典で『Kuinプログラミング入門』を入手しました :-)#技術書典 pic.twitter.com/IDrLy4m4KM
— Tatt(たっと) (@tatt61880) April 14, 2019
Kuin気になってたので本買いました#技術書典
— DAI (@gamenerdDAI) April 14, 2019
くいなちゃんの手元にkuinの本がある
これは個人的にもっとも衝撃的な出来事です。くいなちゃんの知人が買ってきた戦利品の中に、なんと「Kuinプログラミング入門」があります。
言語開発者の手元に自分の書いた本があるのは、とても嬉しい出来事です。
知人が "技術書典6" に参加するというので、わたしのフォロワーさんが出展する 薄くない薄い本をたくさん買ってきてもらいましたっ。 写真に収まりませんでしたが他にも何冊かありますので、きっとあなたの本も手元にあります。 本日はお疲れ様でした! #技術書典 #技術書典6 pic.twitter.com/2CkpY15OZ7
— くいなちゃん (@kuina_ch) 2019年4月14日
さいごに
途中の方針転換が、正解だったのかはわかりません。 ただ執筆期間の制約がある中で、頑張れたとは思ってます。
Kuinのサンプルは深掘りできましたし、最終的に印刷所への納品が192ページになろうとは、思いもしませんでした。 とりあえず言いたいのは、執筆期間に余裕が欲しいの一言に尽きます(苦笑)。
数多の苦労を乗り越えて書いた技術系同人誌、それが「Kuinプログラミング入門」です。 楽しい本になっておりますので、どうぞよろしくお願いします。