村上佳代さんの「マンガでわかるWebマーケティング 改訂版 Webマーケッター瞳の挑戦!」を読みました。私はこの本を以前に読んだのですが、改訂版を機に再読しました。
改めて思いますが、マーケティングは数値との戦いです。KPI、PV、UU、CVR・・・と、マーケティングのための指標が、本書でも多く登場します。
最終的には、企業の売上を増加させる事が目的なので、細かい数値に踊らされる必要はありません。但し、どうしてそのような測定が生まれるに至ったのか?その背景と原則を知ることは、非常に重要かと思います。
・・・というわけで、昨夜に夜なべして読み終わりましたので、個人的な備忘録を兼ねてメモを残しておきたいと思います。
目次
- 目次
- Webマーケティング、デジタルマーケティングとは?
- PVを上げるだけでは不十分である
- ユーザーはどのようにやってくるのか
- ユーザーによって最適なページを出し分けるLPO
- マーケティングとトラブル
- データを活用するデータベースマーケティング
- デジタルは、リアルと競合するのではなく寄り添うものである
- さいごに
Webマーケティング、デジタルマーケティングとは?
マーケティングとは、以下を実践するような活動の事です。
- 売上が上がるための、戦略や考え方を立案する
- それを実現するための、仕組みづくりや、施策、運用手段を実践する
細かい戦略や、テクニックは数あれど、最終的なゴールは売上の増加へと直結します。
Webマーケティングは、マーケティング活動を、リアルではなくWebを通じて行なっているという違いがあるだけです。また、デジタルマーケティングも同様です。手段の違いであり、本質的には変わりありません。
マーケティングとは、営業を不要にするものである
「マーケティングとは、営業を不要にするものである(ピーター・ドラッカー)」といった名言がありました。お客様のほうからやってくる仕組みを確立する事で、営業しなくても売上が上がる体制を目指します。
- 買おうか迷っている人に、買いたいと思わせるような情報を提供する
- 既に買いたいと感じている人には、スムーズに購入できるような導線を用意する
PVを上げるだけでは不十分である
たくさんの人にサイトに来てもらうだけでは不十分です。せっかく来てもらっても、購入や成約に至らなければ成果はありません。
目標管理のための指標
- KPI(Key Performance Indicator): 経営戦略の目標に関連づけられた、日々の業務の達成度合いを測る数値
- KGI(Key Goal Indicator): 企業の最終目標の達成度を評価するための指標
- KSF(Key Success Factor): 当該事業で成功するための要件のこと
閲覧数やユーザー数に対する指標
- PV(Page View): Webページが閲覧された数
- UU(Unique User): そのサイトを訪れたユーザーの人数であり、重複をカウントしない
- セッション数: のべ人数の概念に近い。商店で例えるなら来店客数のことである
本書に登場する一洋ホームでは、Webマーケティングの目標を「見込み顧客にモデルハウスに来場してもらうこと」と設定しました。
PV数は、テレビの視聴率に近い指標です。たくさんの人に見てもらえれば、それだけ成約に至る数は増えます。しかしながら、そもそもの成約率が低ければ、いくら集客をしてもコストばかりが膨らんでしまいます。
成約や購入に至るためのCVR
そこで登場するのが、CVR(コンバージョン率)という指標です。
- CVR(Conversion Rate): 購入や申込などの成約に至る確率。目的を表す数値を、UUやセッション数で割り算して計算する
CVRは、野球で例えるなら打率です。CVRが5%であれば、Webサイトに100回の訪問があれば、平均して購入が5件されることを意味します。
ちなみに、5%というCVRはかなり高い数値です。現在では、CVRは1%が平均とも言われています。
広告の成果を計るためのCTRとCPA
マーケティングでは、検索連動型広告や、メール広告をはじめとした、クリック型の広告サービスを利用することがあります。
- CTR(Click Through Rate): 検索連動型広告やバナー広告などの、表示回数に対するクリック数の指標
単純に考えれば、CTRは「クリック数 ÷ 表示回数」です。せっかく広告を表示しても、クリックされなければサイトを見てもらえないので、高める必要がああります。
- CPA(Cost Per Acquistion):広告出稿の成果を測る指標で、広告費をかけた場合の成果判断に使う
CTRはクリック数でしたが、CPAは分子を最終的な成果と位置づけます。なお、CPO(Cost Per Order)やCPF(Cost Per Fan)という指標もありますが、意味合いはCPAと同一です。
- CPO(Cost Per Order): コストに対する注文数
- CPF(Cost Per Fan): コストに対するファンの獲得数
ユーザーはどのようにやってくるのか
ユーザーがサイトにやってくる経路には、以下のような種類があります。
- Direct: ブラウザのブックマークや、URLの直接入力
- Referral: リンクなどを含めた、他のWebサイト経由での流入
- Branded Paid Search: 自社名や自社サービス名などのキーワードでの検索。リスティング広告経由での流入
- Generic Paid Search: 一般キーワード(冷蔵庫、テレビなど)での検索。リスティング広告経由での流入
- Display: バナー広告、テキスト広告、動画広告などからの流入
- Organic Search: 自然検索からの流入
- Social: SNS経由での流入
流入経路によって、ユーザーのモチベーションの高さが分かります。例えば、ブランド名での検索であれば、いわゆる指名買いであり、成約に至る確率は高いです。
また、通常検索の流入では、検索キーワードにユーザーのモチベーションが詰まっています。マンションであれば「キーワード + モデルルーム」や「キーワード + ショールーム」で検索するユーザーは、見学会に来てもらえる可能性が高いと言えます。
ユーザーによって最適なページを出し分けるLPO
サイトに来訪したユーザーの属性やモチベーションによって、ページを出し分ける活動のことをLPOと呼びます。
- LPO(Landing Page Optimization): ユーザーがウェブサイトへ訪問したページを、属性によって出し分けコンバージョンに至る確率を最適化すること
例えばマンションであれば、モチベーションの低いユーザーには、当該マンションの利便性の高さや、景観の綺麗さなどをページでアピールします。ユーザーのモチベーションを高めることによって、成約率を高めるのです。
一方、モチベーションの高いユーザーには、少ないアクションでモデルルーム見学会を予約できるように、離脱率を低くするための工夫を行ないます。
マーケティングとトラブル
Webマーケティングには、トラブルがつきものです。
- Webサイトのダウンやリンク切れ
- メールの誤送信やウイルスの感染
- SNSでの炎上
- 個人情報の流出
トラブルには、人為的、物理的、外部、内部といった、様々な要因があります。ここで重要なことは、予めトラブル対応手順を確立したり、未然に防ぐための工夫をすることです。
ハインリッヒの法則
「ハインリッヒの法則」は、重大事故は細かいヒヤリの積み重ねによって起こるという法則です。
「1つの重大事故は、29の軽微な事故と、3000のヒヤリ、ハットによって起こる」
少しでも「アレ?」と思うようなことがあったら、事故に発展する前に、予め対処することを心がけましょう。
データを活用するデータベースマーケティング
データベースマーケティングは、蓄積しているデータを活用したマーケティングです。
- DMP(Data Management Platform): お客様に対して最適なWebページを表示したり、リマインドメールを送ったりするなどのアクションプランを、効果的に実現するためのプラットフォーム
- DWH(Data Warehouse): データを活用できる状態で格納して、分析やアクションプランを実行しやすくするためのプラットフォーム
- MA(Marketing Automation): マーケティング施策の実行施策を、自動で行う仕組みやツールやプラットフォーム
データは溜めることが目的ではありません。分析、活用され、はじめて投資対効果があったと言えます。本書では、データベースマーケティングの事例として、メール文章の出し分けが登場します。
- 初回ユーザー: 初めてのご来場予約にも関わらず
- リピーター: いつもご来場ありがとうございます
上記では、ユーザーの経験に合わせた「おもてなし」をすることで、顧客満足度を高めています。
デジタルは、リアルと競合するのではなく寄り添うものである
デジタルは、リアルとパイと食い合うものではありません。リアルかデジタルかは、企業側が区別しているに過ぎません。ユーザーからすれば、ネットでもリアルでも、満足できればどちらでも構わないのです。
「4マス(テレビ、雑誌、新聞、ラジオ) + デジタル」という考え方で、最適配分する企業が増えてきています。デジタルマーケティングを、武器として使いこなしていきましょう。
顧客心理を読むカスタマージャーニー
カスタマージャーニーは、最近とても重要視されています。
- カスタマージャーニー: 顧客が商品やサービスを知ってから、成約に至るまでの心理状態や行動の分析
人は感情で動く生き物です。感情を分析することによって、成約率を高めようという発想です。また、適切な感情をユーザーに与えるための施策を検討します。
さいごに
マーケティングは用語が多いです。本書を読みながら取っていたメモは、かなりの長文になってしまいました。但し、根底にある考え方は単純であり、最終的に売上を増加するための取り組みを、細分化しているに過ぎません。
数値は効果測定のためにあるだけであり、費用対効果や施策の成果を計測するために使われます。
マンガで読むことによって、楽しく覚えることができました。マーケティングの概要や基礎を覚えたい方には、おすすめではないしょうか?