扶桑社新書の将棋「初段になれるかな」会議という本なのですが、さくっと読めて面白かったので、感想を書いていきます。

- 作者: 高野秀行,岡部敬史,さくらはな。
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2018/12/27
- メディア: 新書
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本を読むモチベーションとしては、将棋の本は初心者向けと上級者向けの本が多すぎて、級位者が中級者を目指すちょうど良いレベル感の本が少ないからです。
著者である棋士は、同じプロ棋士の評価も気にして本を書くから、どうしても難しくなるんですよ
と、本書内にも書いてあります。
攻めについて
本書では終始、リスクの低い駒で攻めようと書いてあります。
と金で攻める
「歩」は相手陣に入って成ると「と金」になり、金と同じ働きをします。 でも相手に取られても「歩」なので、ダメージは少ないです。 「と金の遅早」という格言もあります。
駒損で劣勢に立たされると、よほどのミスが起きない限り普通の人に逆転は難しいです。
歩や桂馬の手筋を覚える
本書では「手筋とは、小さくな投資で確実なリターンが見込めるテクニック」と定義してます。
価値の低い駒である「歩」を中心にした手筋を、最初は覚えましょう。 「垂れ歩」「継ぎ歩」「連打の歩」などがあります。
次は桂馬です。桂馬はトリッキーな駒なので、手筋もおもしろいのが多いです。 「ふんどしの桂」をはじめ、角の斜めの効きと桂馬を使ったテクニックは実践でもたくさん登場します。
手筋も同じく、価値の低い駒を活用すれば失敗しても被害は抑えられます。 大駒を使った手筋は大胆でカッコいいですが、まずは無難でリスクの少ない戦いからはじめていきましょう。
詰みより詰めろ
「詰めろ」というのは王手ではないけれども、次に詰ましますよという状態です。 複雑な詰将棋より「次に頭金を打てば詰み」という状況を作り出すほうが簡単です。
言うなれば、1手詰めや3手詰めができる状況下を作り出すことが詰めろの目標です。 なので短手数の詰将棋をこなして、どういう状況になれば詰めろが発生するのかストックを溜めておくことが必要です。
攻め急がない
次に何を指したら良いのかわからない状況で、無理に攻めると大抵は自滅します。 とくに桂馬は取られやすい駒です。桂馬は頭に歩を打たれただけで、相手に取られてしまう状況が起きやすいです。
攻めは飛車角銀を中心にして、桂馬は最後に跳ねるくらいがちょうど良いみたいです。 もちろん、上級者になれば話は変わってくると思いますが。
戦型について
将棋にはさまざまな戦型があり、それらは「居飛車」と「振り飛車」という大カテゴリでわけられます。 これに守りの陣形を組み合わせるのが将棋です。
ひとつの戦型を貫こう
これはプログラミングの考え方と似ているのですが、最初に色々なプログラミング言語を一気に覚える必要はありません。 まずはひとつの言語を覚えて、それを使い続けましょうという話です。
ノーマル四間飛車だけでA級八段になった、鈴木大介棋士の例が紹介されています。 どれかのひとつを戦型を究めていけば、上達している頃には自然と他の戦型も使いこなせる応用力が見についてます。
振り飛車で攻めと守りを分離する
本書内では「振り飛車がオススメ」と書いてあります。 攻めと守りが分離することで、盤面がわかりやすくなるからです。
居飛車は守りを固める玉の近くに「角」がいますが、振り飛車は飛車を左に振って玉を右に囲うので、守りと攻めが完全に分断されます。 攻めの駒は「飛車角銀桂」と言いますが、これをすべて盤面の左側に集約してしまうのが、振り飛車であるというわけです。
アユムさんに学ぶ初段の目指し方
私は毎日Youtubeで将棋動画を観ているのですが、もっともよく観るのが「元奨励会員アユムの将棋実況」です。 ただ実況するだけじゃなくて、毎回小ネタのテーマを語りつつ実況するのがおもしろいです。
毎日観ていて感じたのですが、やはり将棋の上達に必要なのは「実践」よりも「基礎」です。 スラムダンクでゴリが花道に語ったセリフに似ています。
基本がどれほど大事かわからんのか!!ダンクができようが何だろうが基本を知らん奴は試合になったら何もできやしねーんだ
基本なんですけど、以下で鍛えます。対戦はあくまで、基本で覚えたことを実践するための場所なのです。
- 詰め将棋
- 基本手筋の習得
- 次の一手
- 自分が使う戦法の基本定石
さいごに
- 序盤は「自分が使う戦法の基本定石」を覚えて、まずはそれを指せるようになりましょう。
- 中盤は基本手筋や次の一手で鍛えます
- 終盤は「詰め将棋」で詰めろのパターンとバリエーションを増やして、まずは詰めろを目指しましょう。

- 作者: 高野秀行,岡部敬史,さくらはな。
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2018/12/27
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