スマホのゲーム制作や、ゲームディレクターの仕事をチェインクロニクルで学ぶ

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セガゲームスの松永純さんによる「チェインクロニクルから学ぶスマートフォンRPGのつくり方 (星海社新書)」を読みました。

チェインクロニクルから学ぶスマートフォンRPGのつくり方 (星海社新書)

チェインクロニクルから学ぶスマートフォンRPGのつくり方 (星海社新書)

  • 作者: 松永純,4Gamer.net編集部板垣翔平・飯田美和,セガゲームス
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2018/09/27
  • メディア: 新書
  • この商品を含むブログを見る

私はスマートフォンのRPGに詳しくないのですが、本書を読んだ限り「チェインクロニクル」は本格スマホRPGの先駆けのような存在に感じます。

サービス開始から5年が経ち、それまでにおけるゲーム制作の知見をまとめた本です。主に、ゲーム業界を目指す方やチェインクロニクルのファンに向けて書かれています。

私はゲーマーなので、ゲーム制作の舞台裏が気になり手に取りました。感想を書いていきます。

目次

松永さんがやってきたこと

なんと、企画の立ち上げから今に至るまで、ずっと携わっています。

  • 企画の立ち上げ時期に原案を考案
  • メインゲームデザイン
  • ゲーム全体のディレクション

なお、本書のメインはディレクションで、特にシナリオ制作やレベルデザインにスポットがあたっています。

スマホでもコンシューマRPGのような体験を

チェインクロニクルは、以下のような方針で開発をスタートしました。

  • スマホでもコンシューマRPGのような物語性のあるゲームを楽しんでもらう
  • カード=生きたキャラクター

そのために、まずは「コンセプト設計」「ゲーム構造」「開発環境」を軸にして、ゲームの土台作りを始めます。

  • コンセプト設計
    • ゲームの軸がぶれないようにするために、常にコンセプトを見直そう
    • コンセプトは、空で覚えるくらいシンプルに保つ!
  • ゲーム構造
    • カードが生きていると感じられるようなストーリー
    • スマートフォンのお手軽さとコンシューマの重厚さをうまくミックスさせる!
  • 開発環境
    • 開発陣がモチベーションを高い状態で保てる環境作り
    • シナリオライターさんやイラストレーターさんが工夫する裁量の余地を残して、描きたいものを描いてもらう!
  • ...etc

他にも色々と書いてありますが、ゲームディレクターとして制作陣のモチベーションを高い状態で維持する工夫が印象に残ってます。

絶妙なバランス調整のレベルデザイン

最初から難しかったりするゲームでは、途中で挫折するプレイヤーが続発してしまいます。「チェインクロニクル」では、それ以外にも様々な工夫を凝らしたレベルデザインがおこなわれています。

  • 楽しい話、切ない話・・・などの、物語の喜怒哀楽のバランス調整
  • 王道のストーリーやキャラクターを深掘りした話など、本編とサブストーリーのバランス調整
  • SSR、SR・・・カードのレア度合いとストーリーの関係性
  • ...etc

スマートフォンゲームは基本無料が多く、少しでも退屈や挫折を感じてしまうとアンインストールされてしまいます。序盤から全力投球なのが、スマートフォンゲームと普通のコンシューマゲームの違いみたいです。

ゲーム稼働後の運用について

普通のコンシューマゲームとは異なり、マスターアップすれば終わりではないのがスマートフォンゲームです。

  • ゲームの稼働後、初期の頃に大型イベントによってサーバーがダウンしてしまう異常事態に!
  • 1年で終わる予定で終わる予定だったシナリオが拡張し、急遽、第二部の制作が決定
  • ...etc

長く運用をしていると、やはり色々とあるのですね。

シナリオを追加しやすくするための工夫

第二部の制作は、ゼロからスタートしました。そのため、完成したシナリオからリリースされていきます。

特に印象的だったのは、シナリオ制作がやりやすいように新大陸を複数用意したことです。大陸を分けるとシナリオも分断するので、シナリオライターの分業がやりやすくなります。

他にも、様々な工夫が書いてありました。

  • 完璧よりも80点や90点のシナリオを目指すことで、制作ハードルを下げる
  • コンセプトだけは忘れずに維持する
  • ユーザーを飽きさせないように、各大陸の設定で個性を強める
  • KPIを活用して、ユーザーの飽きや離脱を分析する。常に改善することで継続率を高める
  • ...etc

さいごに

本書を読んでいて「深く考えて作り込まれている!」と感じました。スマートフォンの手軽さと、コンシューマRPGの重厚さを両立させる取り組みは簡単ではありません。

また、コンプガチャ規制問題やガチャに対する考え方にも触れています。それに対する、ガチャではなく「生きたカード」という方向性は面白いです。

ゲーム制作の舞台裏が気になる方にとっては、とてもオススメな本です。ゲーム業界を目指す方、ゲーマーな方からチェンクロのファンまで、ぜひとも読んでみてはいかがでしょうか?

「チェインクロニクルから学ぶスマートフォンRPGのつくり方」は、段落分けも上手く読みやすかったです。ありがとうございました。

チェインクロニクルから学ぶスマートフォンRPGのつくり方 (星海社新書)

チェインクロニクルから学ぶスマートフォンRPGのつくり方 (星海社新書)

  • 作者: 松永純,4Gamer.net編集部板垣翔平・飯田美和,セガゲームス
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2018/09/27
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