小説、オズの世界を読みました。ディズニーランドに憧れていた女性が、配属された先はまさかのローカル遊園地!・・・という感じで、とても面白かったです。
漫画化や映画化されるのも、納得の作品です。今回は、オズの世界を題材にして、感想を書きつつ、遊園地について語っていきたいと思います。
ネタバレありの感想ですので、予めご了承ください。

- 作者: 小森陽一
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2015/11/20
- メディア: 文庫
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目次
- 目次
- あらすじ
- ローカル遊園地で働くことの、一番の問題は虫である
- オズの魔法使いが棲むような国にしたい
- ローカル遊園地の厳しい現実を描く
- 破天荒な感じが楽しい
- ディズニーランドだけが夢なのではない
- 映画のタイトルはオズランド
- さいごに
あらすじ
配属先はローカル遊園地!? ディズニーランドで働く夢に破れ、二度と遊園地には行かないと心に決めた久瑠美。
失意のうちにホテルへの入社を決めた彼女が命じられたのは、グループ傘下にあたる九州の遊園地での勤務だった。
理想と現実のギャップに不満だらけの久瑠美、しかしそこでは更なる試練が待ち受けていた――。
遊園地の知られざる裏側と不慣れな地で奮闘する新米社員を描くお仕事小説。
ローカル遊園地で働くことの、一番の問題は虫である
ホテルに入社したはずの久瑠美に告げられたのは、まさかの東洋スーパーワンダーランドへの出向でした。東洋スーパーワンダーランドは、熊本県荒尾市に存在する、架空の遊園地です。荒尾市は、福岡県と熊本県の県境の近くにあります。
虫が大嫌いな久瑠美にとって、これは間違いなく試練です。何せ、部屋の中にまで虫がいるのです。でも、どんなに嫌いでも律儀に写真を撮影して、虫天国の管理人に写真を送っている姿を見ると、意外と耐性があるのかもしれません(苦笑)。
これは余談ですが、私も虫は苦手です。子供の頃は、セミを捕まえに、毎年のように公園へ繰り出していたのですが。どうしてこうなってしまったのでしょうか。
オズの魔法使いが棲むような国にしたい
宮川社長が貫き通そうとする信念は、私の心にも深く刺さりました。
遊園地は争いに疲れた人間の反動が生み出したものじゃないかとね。
森の奥に開かれた夢の国、そこでは誰もが笑ってる。
私は、もともと遊園地とは子供が行く場所であると思っていたのですが、本書を読んでイメージが変わりました。本当は、大人こそ遊園地に行くべきなのではないでしょうか?
遊園地というのは、普段の疲れた喧騒や人付き合いから離れて、素直に楽しめる場所です。そう、大人が無邪気に童心に戻れる場所こそが、遊園地なのです。
そして、それを支える遊園地のスタッフたちは、まさに夢への案内人です。
ローカル遊園地の厳しい現実を描く
バリエーションが豊富な企画
本書内でも、平日はガラガラであるという記述があります。久瑠美の勤務する企画課は、まさに世間から注目を浴びそうな企画を計画することで、赤字続きの「東洋スーパーワンダーランド」の現状を脱却する役割があります。
彼女たちが実施した企画は実にバリエーションが豊富で、私も思わず行きたくなってしまうような内容ばかりでした。
- 10頭を超えるゾウによる圧巻のショー
- 落とし物をWebサイトに掲載する
- 身長40m、原寸大のウルトラマンを観覧車の隣に立てる
架空の遊園地を舞台にしているが、これは決して他人事ではない
この本は架空の遊園地を舞台にしていますが、やはりローカル遊園地の赤字続きを脱却するためには、こういった大胆な企画が必要なのではないかと思います。それくらいに世間は厳しくて、地方の遊園地は苦境にたたされています。
- 都市部へ人が集中してしまう事による、人口の減少
- 少子高齢化による、メインターゲットである家族連れや子供たちの減少
人の減少に加えて、娯楽の多様化もあります。特に地方の遊園地を取り巻く環境は、決して優しくはないのです。
閉園してしまった小山ゆうえんち
じゃあ、客が来ないからと言って、地方の遊園地がどんどん無くなってもいいのかと言うと、それも違う気がするのです。私が子供の頃に行った「小山ゆうえんち(栃木県小山市)」も、とても思い出深い場所だったのですが、今はもうありません。
遊園地が閉園してしまうのに抵抗があるのは、おそらく遊園地が楽しい体験を提供する場所であり、遊園地が楽しい思い出を作った場所だったからなのではないでしょうか?
だからこそ、赤字続きであったとしても、宮川社長は「東洋スーパーワンダーランド」を守りたいのだと、私は解釈しました。
破天荒な感じが楽しい
入社式がまさかのヒーローショーには爆笑しました。ヒーローショーに憧れていたはずの吉村が、そそくさと逃げ去ってしまうのには少しガッカリしましたが、こんなサプライズ入社式があるのなら見てみたいなぁ。
遊園地で勤務していて、まさかの動物園のごとくゾウの世話をすることになったり、巨大ウルトラマンが登場するくだりも、驚きの展開でした。本書が映画化や漫画化される理由は、このエンターテイメント性の高さにあると思います。
ディズニーランドだけが夢なのではない
ディズニーランドは、夢の国と呼ばれる事が多いです。久瑠美はずっと、遊園地と言えばディズニーランドを夢見てきました。
・・・でも、夢というのは1種類だけじゃなくてもいいし、色々な表現の形があるのだと、久瑠美は学んだのではないでしょうか?
映画のタイトルはオズランド
今年の秋に、オズランドというタイトルで映画化が決定しています。個人的には、小塚のワイルドさをどれだけ上手く表現できるのかが気になるなぁ。
何にせよ、映画も楽しみで、公開したら観に行く予定です。
映画『オズランド』公式サイト 2018年10月26日(金)、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー!
さいごに
私は、遊園地には世の中を元気にするパワーがあるのではないかと思ってます。遊園地は人を元気にして、元気になった人たちが世の中を活性化させていくのです。
感想を書いていたら、遊園地に行きたくなってきました。ただ、情けないことに高所恐怖症でして、ジェットコースターどころか観覧車すら乗れません。
どうにかして高所恐怖症を治す方法を、絶賛募集しております(苦笑)。

- 作者: 小森陽一
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2015/11/20
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