小説&映画感想 ペンギン・ハイウェイ 郊外に突然現れるペンギンの正体に迫る!

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森見登美彦さんのペンギン・ハイウェイを読みました。軽い気持ちで読み始めたのですが、こんなにも惹き込まれる作品だとは露知らず。

この感動は、拙い文章であったとしても残しておきたいので、記事に書くことにしました。

ペンギン・ハイウェイ (角川文庫)

ペンギン・ハイウェイ (角川文庫)

第31回、2010年の日本SF大賞受賞作。映画版のアニメも絶賛公開中の作品です。

penguin-highway.com

感想にはネタバレを含みますのでご注意ください。

目次

SF、そしてファンタジー

本作はサイエンスフィクションであり、いわゆる架空のお話なんですが、物語は、突如空き地の真ん中に現れるペンギンからスタートします。

そして、森の奥地の草原にある「海」と呼ばれる謎の球体。日常に突然現れる不思議は、まるでファンタジーです。

あまりに不思議なので、先が気になって仕方がありません。

賢いアオヤマ君とお父さん

主人公であるアオヤマ君は、常にノートを持ち歩き、様々な事を記録しながら、日々賢くなることを目指す少年です。

父親からアドバイスを受けながら、ペンギンと海の謎に迫っていきます。この父親のアドバイスはとても的確で、要約すると「問題を知ることが問題である」という事を述べています。間違った方向で調査をしてしまっても意味がないから、全ての問題を一枚の紙に列挙してみましょう・・・といったくだりは、さすが大人です。

アオヤマ君の父親は、デキるビジネスマンに間違いありません。

不思議なお姉さん

本作のヒロインは、歯科医院に勤めるお姉さんです。モノをペンギンに変える力を持っているお姉さんは、アオヤマ君に、自分の持つ能力の謎の探求を依頼します。

作中で、お姉さんが謎の探求を依頼した理由が語られることはないのですが、私は、お姉さんは「誰かに謎を解いてほしかった」のではないかと推測しています。

「海」が修復されて、壊れた世界が元通りに直ってしまったら、お姉さんは役目を終えてペンギンと共に消滅してしまう存在です。誰かに見届けて欲しかったのか?

もしくは、自分が人間でないことまでは実感していたが、役割までは認識していなかったので、自分の持つ役割を探求して欲しかったのかもしれません。

いずれにせよ、アオヤマ君が恋してしまうのも納得できるくらいに魅力的です。心が広い上に、いたずらしたスズキ君を懲らしめるくだりはとても人間味にあふれています。子供の頃は大嫌いだった歯医者も、お姉さんみたいな人がいたら楽しかっただろうなぁ。

子どもたちで結成される探検隊が謎に迫る

アオヤマ君、ウチダ君、ハマモトさん、そして終盤に加わるスズキ君といったメンバーで構成される探検隊は、まさに明智小五郎や名探偵コナンに登場する「少年探偵団」といった様相を呈しています。

ハマモトさんは海を研究していて、ウチダ君は死ぬとはどういうことかを研究しています。チェスがきっかけで仲良くなったアオヤマ君とハマモトさんは、二人とも相対性理論の本を読むくらいに熱心です。

私は、中でもハマモトさんというキャラクターが大好きです。正直、アオヤマ君もハマモトさんも、自分より頭が良いことは間違いなさそうな気がします(笑)。

不思議を熱心に探求するという、素直な童心と言ったら良いのか、研究者のような感覚と言ったら良いのかは分かりませんが、とにかく読んでいる読者をも巻き込んで、謎の真相へと迫っていきます。

世界の果てを見るのは悲しいことなのか?

「世界には解決しないほうがいい問題もある」・・・作中で、そのようなセリフをアオヤマ君のお父さんが発言しています。

お姉さんが好きなアオヤマ君にとって、謎を解明して世界を修復してしまうことは、お姉さんの消失を意味しています。もしかしたら、お父さんはそのような未来を予見していたのかもしれません。

ただ、本作が凄いなと思ったのは「アオヤマ君はお姉さんの消失を悲観していない」という点です。それはまるで、科学には再現性があるから、またお姉さんと再会することができると言わんばかりです。

ペンギン・ハイウェイを歩み続けていれば、世界の果てにたどり着く。そうすれば、もう一度お姉さんに会うことができるとぼくは信じるものだ。

ペンギンがたどる道

ペンギンは、海の中をすいすい泳いでいるか、氷の上で群れを成して暮らしています。そんなペンギンが、陸路をたどる道のことをペンギン・ハイウェイと呼びます。

普段は氷の上で生息しているペンギンが、夏の空き地に登場するのですから、なんとも不思議です。冒頭にこれを持ってくるのはズルい(笑)。

最初から全開フルスロットルで謎を突き付けてくるから、先が気になってほぼ徹夜で読み進めてしまいましたよ!

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(画像引用:http://penguin-highway.com/)

映画版 ペンギン・ハイウェイの感想

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劇場で、映画版のペンギン・ハイウェイを観てきました。お姉さんのおっぱいは大きいし、ハマモトさんはやっぱり可愛かった。でも、一番の圧巻は、物語の後半に大量に登場するペンギンたちです。可愛い、そして凛々しかったです!

小説版をうまく2時間の映画にまとめているなぁ、という感想を持ちました。映画館で観るアオヤマ君は、大人びているように見えるけれど、やっぱり心は純粋で、大人にはなりきれていません。

原作を読んだ立場から見ても、良かったと思える作品でした。ぜひ劇場で鑑賞されてみてはいかがでしょうか?

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さいごに

本作は、冒頭から自然と不思議な事が起こる作品で、少年たちの探求を通じて、謎へと迫っていく作品でした。その日常に溶け込むファンタジーがとても気になるので、アオヤマ君の謎の探求を応援しながら、読み進めて最後までいたります。

本棚に置いて、繰り返し読みたい作品であることは間違いありません。森見登美彦さんに感謝です。素敵な作品をありがとうございます。

ペンギン・ハイウェイ (角川文庫)

ペンギン・ハイウェイ (角川文庫)