AIと人間は共存できるのか?羽生善治さんの人工知能の核心を読みました

羽生善治さんの人工知能の核心を読みました。

人工知能の核心 (NHK出版新書 511)

人工知能の核心 (NHK出版新書 511)

昨年は「永世七冠」を獲得して、まだまだ強い羽生さんですが、本書はそんな羽生さんとNHKスペシャル取材班が共著で執筆した本です。

感想を書きますがネタバレがありますのでご注意ください!

将棋と人工知能(AI)

羽生さんと言えば将棋です。現在、将棋の世界では将棋ソフトを使った解析が当たり前のように行われるようになりました。

羽生さんは、人工知能(AI)がプロ棋士に勝利するのは2015年と予想していたそうですが、その先見の明はお見事です。将棋電王戦をはじめ、当たり前のようにプロ棋士が人工知能に負ける時代が到来しました。

ただ、本書が考察しているのは、将棋や囲碁といった限定的な人工知能(AI)ではなく、もっと広範囲の人工知能になります。将棋が強いAIは将棋でしか役に立ちませんが、その技術をより汎用化すれば、他の分野でも活躍できるようになります。

人工知能に接待将棋は難しい

本書で私が一番面白いと感じたのは、接待将棋のくだりです・・・というのも、AIに接待将棋は難しいらしいのです。

「絶妙な手を打ち、程よく戦いが白熱し、相手に気持ちよく勝たせる」接待将棋には、相手に気持ちよく勝たせるための気配りが必要です。このような、ただ強いだけでなく「心」や「気配り」をもった将棋は、まだまだAIが到達できない分野の一つです。

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人工知能にふなっしーは作り出せるのか?

本書では、人間が優れた創造性を持つ例として「ふなっしー」が紹介されています。確かに、ふなっしーは不思議です。

ふなっしーは一言で言い表せない魅力を持っていて、それを機械が生み出すためには、高度な創造性や芸術性をAIが身につける必要があります。

一方で、似たような分野でも音楽は比較的AIが得意とする分野とされています。音楽は音として解析することが出来るため、他の芸術分野と比べて数値化しやすいのです。

人工知能は心を持てるのか?

本書では、ソフトバンク社の開発中のPepperが紹介されています。開発中のPepperには「感情地図」というプログラムが搭載されています。

この新しいPepperくんは、話し相手の声色などから、相手の感情を読み取る能力があるそうです。つまり、人間の感情を意識して会話することができることです。

本書のテーマの一つに「人間と人工知能の共存」があるのですが、共存するためには、人工知能はもっと人間に寄り添わないといけないでしょうし、その逆もまた然りです。

人工知能を知ることは人間を知ることである

羽生さんが凄いのは、人工知能という技術を俯瞰して捉えているところです。本書の最後に「人工知能について知ることは、人間について深く知ることでもある」と書かれているのですが、まさにその通りだと感じました。

現在の人工知能の研究は、ニューラルネットワークなどを駆使することによって、いかに人間の思考を再現するのかに重点が置かれてます。これによって、不思議だった脳のメカニズムがどんどんと紐解かれていきます。

つまり、人工知能の研究が進むということは、人間の脳を知ることができるという事でもあるのです。

人工知能が台頭する職業

本書内では、弁護士、外科医、公認会計士などが紹介されています。いずれも、資格が必要な高度な職業ばかりです。

人工知能は覚えることが得意なので、たくさんの高度な知識を要求する仕事ほど活躍できる可能性は高くなります。例えば弁護士の人工知能であれば、過去に似たような判例があるかどうかを、瞬時に検索することができるのです。

人工知能だって間違えることもある

現在の人工知能技術では、大規模データ(ビッグデータ)をもとにディープラーニングすることによって、人工知能の性能を高めていることが多いです。

その一方で、与えた大規模データの質によっては、誤った判断をくだしてしまう可能性があります。つまり、AIは完璧とは限らないのです。

さいごに

本書は、人工知能を否定も肯定もせず、俯瞰して捉えた良書でした。

人工知能が今後どのように世の中に普及していくことになるかは分かりませんが、既にGoogleHomeやAlexaをはじめとして、家庭内にも普及し始める土台は整っています。

後は私達人間が、どう人工知能とうまく付き合っていくのかです。