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AI探偵 VS AI犯罪者の人工知能推理バトルを見届けよ!探偵 AIのリアル・ディープラーニング

「探偵AIのリアル・ディープラーニング」を読みました。

探偵AIのリアル・ディープラーニング(新潮文庫)

探偵AIのリアル・ディープラーニング(新潮文庫)

推理小説としてみると普通の作品なんですけど、本作はなんと、犯人も探偵もAIなのです。

とても未来を感じる本作の、感想を書いていきたいと思います。ネタバレがありますのでご注意ください。

現代のホームズVSモリアーティ

(ホームズ)推理小説をディープラーニングして、推理を学ぶAIの相以

もともと刑事だったAIの相以(あい)は、主人公(合尾輔)のススメもあって推理小説をディープラーニングすることにしました。

わずか一日で千冊もの推理小説をディープラーニングした結果、相以は探偵として生まれ変わります。さすがAI、人間にはできない芸当です。その結果、推理のみならず、普段の言動まで探偵っぽくなります。

しかも、様々な事件を経験することによって、よりディープラーニングで強化されていきます。

(モリアーティ)推理漫画をディープラーニングして、トリックを学ぶAIの以相

以相(いあ)も同じく、主人公の父(合尾創)によって作られたAIですが、シンギュラリティの実現を目指す組織によって奪われてしまいます。

以相の場合は、推理小説ではなく推理漫画(マンガ)をディープラーニングすることによって、犯罪トリックを強化します。

本書の帯にはモリアーティと書いてありますが、まさにそんな感じです。AIが殺人をすることはさすがにできませんので、以相は自ら手はくだしません。

以相は、犯罪トリックを考案するためのAIなのです。

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見どころは直接バトル

本書のみどころは、なんといってもAIとAIの推理バトルです。以相(いあ)が起こした犯罪を、見事に相以(あい)が解き明かします。

「シンボルグラウンディング問題」という、AIならではの弱点を突いて解き明かす点はとても斬新です。まさに次世代の推理バトルです!

ただ残念なことに、本書において相以と以相の直接対決は一回しかありません。もっと「AI VS AIの推理バトル」として、突き抜けてほしかったなぁ。

AIは感情を表現するのか?

相以が武君野谷の紅葉を「美しい」と表現するシーンでは、主人公は考えに耽っています。紅葉を見て美しいと感じるのは、多くの人が感じる感情であり、とても自然なことです。

しかし、AIからしてみると、美しいとは何かという判断基準や定義付けがなければ、美しいかどうかを判断することはできません。

本書には「AIは人間の心を理解できるのか?」というテーマがあったように感じています。AIが心を持てば、活躍のフィールドが広がることは間違いありません。

さいごに

本書は「ディープラーニングで推理する、犯罪トリックをディープラーニングする」という、とても斬新なコンセプトの一冊でした。推理小説としてみると、特別に凄いという作品ではないんですけど、とても未来を感じさせる一冊でもあります。

ディープラーニングを駆使することによって、将来的には頭脳を使う職業はすべてAIに置き換わってしまうかもしれませんね。

探偵AIのリアル・ディープラーニング(新潮文庫)

探偵AIのリアル・ディープラーニング(新潮文庫)