アジャイルサムライではじめる達人開発者への道【書評】

「アジャイルサムライ−達人開発者への道−」は「Jonathan Rasmusson」によるアジャイル開発の名著です。

マスター先生というサムライが、アジャイル開発について指導してくれます。一風変わったスタイルである本書ですが、非常に読みやすいのが特徴です。

アジャイルサムライ−達人開発者への道−

アジャイルサムライ−達人開発者への道−

  • 作者: Jonathan Rasmusson,西村直人,角谷信太郎,近藤修平,角掛拓未
  • 出版社/メーカー: オーム社
  • 発売日: 2011/07/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • 購入: 42人 クリック: 1,991回
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とてもおすすめできる本ですので、書評を書いてみようかと思います。

アジャイル開発とは何なのか

本書で示されているのは、アジャイル開発における考え方です。

アジャイル開発とは旅そのものであって、目的地じゃないんだ。

本書の後半で記されているように、アジャイルとはあくまで開発スタイルのことです。職場環境、メンバー特性、プロダクトの性質などによって、最適な開発スタイルは異なってくるでしょう。

では、そいういった特性に左右されない、アジャイルの本質とは何でしょうか?

私は、アジャイルの本質は「価値あるプロダクト(成果物)を定期的に届けること」であると解釈しました。

価値あるプロダクト(成果物)を届ける

価値あるプロダクトとは、一体なんでしょうか?

私は、価値とは「顧客が求めるちゃんと動くモノを予算内で届けること」であると解釈しました。

これは、プロジェクトの4つのスコープにあてはめると、以下のような対比表になります。

  • 顧客が求める = スコープ
  • ちゃんと動くモノ = 品質
  • 予算内で = 予算
  • (定期的に)届ける = 時間

プロジェクトの4つの変数について詳しく知りたい方は、以下の gallu氏の記事をご参照ください。

d.hatena.ne.jp

定期的に届ける

なぜ、プロダクトを定期的に届けることが大事なのでしょうか?

これには、システム開発の規模は小さいほうが良いという、先人の知恵が詰まっています。

大規模システムプログラム開発は、過去十年以上もの間そうしたタールの沼のようなものだった。
引用:人月の神話 フレデリック・P,Jr. ブルックス

また、統計調査においても、そのようなデータがあります。

itpro.nikkeibp.co.jp

プロジェクトの成功確率は、プロダクトの規模が大きくなればなるほど、減少する傾向があります。これは、開発期間が長期化してしまうと、以下のようなトラブルに遭遇するからです。

  • 状況の変化によって、開発途中で仕様変更を余儀なくされる
  • 開発期間の長期化による、メンバーのモチベーションの低下
  • 人数が多いことによりコミュニケーションが行き届かず、コミュニケーションロスや認識違いなどが発生しやすい

一方で、定期的にプロダクトを届けるためには、次回のリリースまでに終わらせるよう、プロダクトの規模を制限しなければなりません。

例えば、もっとも重要度の高い機能だけに集中し、先行でリリースします。

つまり、定期的にスプリントという区切りを設け、大規模プロジェクトを細かく分割します。これによって、大規模プロジェクトをマイクロプロジェクトに変えてしまうのです。

形にとらわれてはいけない

私がはじめて本書を手に取ったときは、アジャイル原理主義に陥ってしまいました。現場の実態に沿わないプロジェクト運営をしてしまい、そのプロジェクトは残念ながら失敗に終わってしまいました。

アジャイル開発には、様々なプラクティスがあります。

  • インセプションデッキ
  • プランニングポーカー
  • ユニットテスト
  • リファクタリング
  • テスト駆動開発
  • 継続的インテグレーション
  • デイリースタンドアップ

今回、再読したことによって、新たに色々と見えてくるものがありました。最も大事なことは、自分のプロジェクトに必要なプラクティスを、自分で考えてアレンジしながら取り入れることです。

アジャイルは、魔法の解決策ではありません。私は、アジャイルとは考え方であると思います。

そんなアジャイルの考え方と、様々なプラクティスを提案してくれるのが本書です。サムライであるマスター先生に教えられながら、ぜひアジャイル開発の一端をのぞいてみませんか?

アジャイルサムライ−達人開発者への道−

アジャイルサムライ−達人開発者への道−

  • 作者: Jonathan Rasmusson,西村直人,角谷信太郎,近藤修平,角掛拓未
  • 出版社/メーカー: オーム社
  • 発売日: 2011/07/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • 購入: 42人 クリック: 1,991回
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