【映画感想】聯合艦隊司令長官 山本五十六

「聯合艦隊司令長官 山本五十六」は、2011年に東映にて公開された映画です。

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半藤一利著「聯合艦隊司令長官 山本五十六」を原作とし、開戦前から戦死までの山本五十六の歩んだ軌跡を描きます。私が鑑賞した印象では、少しドキュメンタリーに近い作品です。

以前に記した「日本のいちばん長い日」が戦争を終らせる物語であるならば「聯合艦隊司令長官 山本五十六」は戦争をはじめる物語です。

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誰よりも戦争に反対した男

山本五十六は、日本と米国が開戦したらどうなるのかを、熟知していました。国力の差は10倍以上、これだけの物量差があっては、戦争に勝つことはできません。

山本は日独伊の三国同盟に反対し、アメリカを刺激することを避けようとします。強固に反対の姿勢を貫きましたが、結果的にどうなったのでしょうか?

それは、史実が示すとおりです。

戦争に反対した男は彼一人ではない

山本五十六は、誰よりも戦争に反対した男として知られていますが、戦争に反対していたのは何も彼一人ではありません。

ぜひ、猪瀬 直樹氏の「昭和16年夏の敗戦」を読んで欲しいと思います。

昭和16年夏の敗戦 (中公文庫)

昭和16年夏の敗戦 (中公文庫)

当時の日本には「総力戦研究所」という組織がありました。総力戦研究所は、総力戦を想定して模擬内閣を組閣し、机上演習を行いました。これらは、データに基づく演習です。

彼らが弾き出した結果もまた、結果的にうまく活用されたのかは史実が示すとおりですが。

上記にあげたように、誰しもが開戦ムード一色だったわけではありません。民衆や報道は開戦を煽りますが、山本五十六をはじめ、冷静な声もありました。しかし、開戦派の熱意によって、かき消されていくことになるのです。

講和を目指した男

山本はあくまで、戦争の早期集結を望んでいました。今思えば、それは当然の考えです。国力の差は10倍以上あるわけですから、時間が経てば経つほど、戦力の差は拡大していきます。

山本五十六の作戦は、常に講和への道を前提とした作戦でした。もし、山本五十六の想定通りに史実が進んでいたとしたら、長崎も、広島も、東京も、焦土と化すことはなかったでしょう。

この映画は、戦争を終わらせるために奮闘した男の、魂の物語なのです。

史実は淡々と進んでいく

本映画は、史実通りに物事が進行していきます。どちらかと言えばドキュメンタリー色が強く、感動作品というよりは淡々と物事が進行していきます。

ここは評価が分かれるところです。この映画が何を伝えたかったのか、解釈は鑑賞者に委ねられています。史実を淡々と描いた作品ですので、どう読み解くかはあなた次第と言えるでしょう。

ただ、以前に記した「日本のいちばん長い日」の記事でも書きましたが「 戦争を始めるのは難しい、終わらせるのはもっと難しい」を痛感する作品であることは確かです。

綺麗に終わらせることは難しい

何かを始めるというのは、そこまで難しいことではありません。私はブログを書いてますが、ブログは30分もあれば、無料ブログを契約して開始することができます。

一方で、世の中にはたくさんの更新を終えてしまった自然消滅ブログが存在します。「忙しい」「書くネタがない」「飽きた」・・・理由は様々でしょう。そう、続けることも難しければ、綺麗に終わらせることも難しいのです。

私が本映画において山本五十六を凄いと感じたのは、常に終わりを見据えていたことです。現代風に言うなれば、エグジット戦略を見据えたベンチャーというイメージになるでしょうか?

現代に生きる我々が、史実に存在した人物から何を学び得るのか、それは我々の手に委ねられているのです。

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