【書評】エラスティックリーダーシップ - 自己組織化チームの育て方

「エラスティックリーダーシップ(ELASTIC LEADERSHIP) - 自己組織化チームの育て方」は、IT系の専門書で有名なO'Reillyより出版された、リーダーシップをテーマにした書籍です。

エラスティックリーダーシップ ―自己組織化チームの育て方

エラスティックリーダーシップ ―自己組織化チームの育て方

池袋のジュンク堂では特集コーナーも展開されており、話題になっていたため手に取りました。

自己組織化とは何か?

書名を見て最初に疑問に感じるのは、「自己組織化とは何か?」ではないでしょうか?

本書で語られている自己組織化は、難しい話ではありません。私なりに解釈すると、以下に要約されます。

「個々のメンバーが日々成長していくことで、今週よりも来週の方が良い組織であるというスパイラルを繰り返す」

つまり、チームメンバーの成長を促すことがリーダーの役割であるということになります。

では、何故メンバーの成長が重要なのでしょうか?
エンジニアリング組織で言えば、様々な挑戦を経て、経験を積んだスキルの成熟したメンバーであることのほうが望ましいのは言うまでもありません。

さらに言えば「メンバーが成長することで、メンバーが最良の選択をできる領域や幅が広がる。メンバーが自律的に仕事を遂行できるようになれば、リーダーはより重要な仕事に集中できるようになる。最も進んだ自律的組織であれば、リーダーがいなくても組織が自律的にまわるようになるのです」

人を管理することは難しい

チームリーダーは、人やプロジェクトを管理下におくことになります。しかし、人を管理することは非常に難しいのです。それには、本書内に以下の名言があります。

ジェラルド・ワインバーグによる著書「Managing Teams Congruently」(Weinberg & Weinberg) の言葉を今回のケースに変えて言い換えるとこうなる。
「間違った管理をすると、これらの恐怖を現実のものにしてしまう。しかし、正しく管理するならば、それらは回避される。正しく管理することは、とても難しい仕事だ。だからこそ、あなたは高い賃金を受け取るのだ」

成長には挑戦が必要

個々のメンバーが成長するためには、何が必要でしょうか?本書で述べられているのは、「挑戦することが大事である」という点です。

私なりの言葉で説明するならば、「自分が持っている力だけで達成できる仕事であれば、それは単なるアウトプット行為である。人間は挑戦をすることによって、新たな気づきや発見を得て、前に進むことができる」ということです。

挑戦することは怖い

挑戦にはリスクが伴います。失敗するかもしれないし、挑戦したけれども何も得られないかもしれない。さらには人事評価でマイナスになるかもしれない。

挑戦には時間も必要です。学習の時間も必要ですし、未知の領域で高い生産性を発揮することは難しく、仕事の進捗も遅くなるでしょう。

リーダー自身も、プロジェクトやチームメンバーが抱えるこれらの諸問題を乗り越え、なおかつチームメンバーの成長につなげるための挑戦をしなくてはいけません。

自己組織化を達成するための取り組みが詰まった良書

本書では、様々な取り組みが掲載されています。チームの状況を明らかにするための「クリアリングミーティング」や、リスクを減らすための「バス因子を取り除く方法」など。

巻末に日本人執筆者によるエッセイがあるのですが、これもなかなかに面白いです。Ruby開発者のまつもとゆきひろ氏による「OSS開発のリーダーシップ」、Rebuild.fm でも有名な伊藤直也氏による「大事な問題にフォーカスする」など。

可愛い子には旅をさせよ

リーダーシップというと仰々しい響きに聞こえますが、結局のところ本書が提言しているリーダーシップは、私なりに解釈すると「可愛い子には旅をさせよ」という非常にシンプルなロジックであると感じました。

「我が子を成長させるにはどうすれば良いか・・・」

そんな気持ちからはじまるリーダーシップのスタイル、まるでスポーツのコーチになったような気分で取り組んでみるのも面白いかもしれません。

星野仙一流、野村克也流、長嶋茂雄流、スポーツで例えると、野球だけをとってみても多種多様なリーダーシップスタイルがありますね!

絶対的な正解がないからこそ、多様性が許容されているリーダーシップの世界で、あなたはどのようなリーダーシップを振るいますか?

エラスティックリーダーシップ ―自己組織化チームの育て方

エラスティックリーダーシップ ―自己組織化チームの育て方